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アメリカでレンタカーが故障したときの顛末(前編)

タイトルの通りですが、レンタカーでアメリカを旅行中に車が故障しました。そのときの状況や我々がとった行動をレポートします。同じような状況になる方は少ないかもしれませんが、誰かの参考になれば幸いです。

17:00 フリーウェイを走行中にレンタカーが故障

アメリカ旅行6日目の17時頃、レンタカーでオレンジカウンティからラスベガスに向かっている途中に突然、アラートが鳴り、車が勝手に減速を始めました。

インパネには「Warning. Engine Malfunction. Power Reduced Service now」と表示されています。

急に鳴り響くアラートと、フリーウェイ上で勝手にどんどん減速していくことに驚きつつ、ハザードランプを点けて右へ右へと車線を変更し、路肩に停車しました。

「うわーまじかぁーーー」

これからどうするか。途方に暮れました。ここは見渡す限りの荒野で、視界に建物は1つもありません。グーグルマップによると、ラスベガスの中心部までは車でおよそ1時間半という場所です。ガソリンを節約するためエンジンを切ってエアコンも止め、車の窓を開けて暑さをしのぎつつ、やるべきことを考えます。大型トラックが頻繁に自分たちの真横を通り過ぎて行くのが恐かったです。

最初に思いついたのは、アメリカ駐在時代の同僚(アメリカ人)に相談することでした。いまの状況を英語で説明できるように頭のなかを整理したあと、意を決して電話しましたが、出ませんでした。時間的にいまは帰宅中かな、、、と思いつつ、別の元同僚にコンタクトしようと連絡帳をめくっていたとき、妻から「ハルさんに連絡してみようよ!」と提案がありました。その手があったか。ハルさんはアメリカ駐在時代にお世話になった日米バイリンガルで、日本語も英語もネイティブレベル、日本とアメリカの両方の文化に精通している方です。アメリカ駐在時代は基本的に妻がハルさんとやりとりしていたので、妻からハルさんに電話をかけてもらいました。

ハルさんが電話に出てくれて何とも言えない安心感を得ました。妻からスマホを受け取り、いまの状況を伝えたところ、まずはレンタカー会社(ALAMO)に電話することになりました。ALAMOのエマージェンシーダイヤルをインターネットで調べ、ハルさんを交えた三者通話を試みます。

17:50 レンタカー会社に電話する

ALAMO、ハルさん、私の三者通話を開始。かれこれ1時間ほど話しました(話していたのは基本的にハルさんとALAMOのオペレータです)。最初にレンタカーの契約番号、私のフルネーム、生年月日を伝えたあと、今の状況について説明したところ、ALAMOのオフィスまで移動するためのUberを手配してもらえることにしました。いま借りている車はレッカー移動するそうです。ALAMOのオフィスに着いたら新たに車を借りてくださいとのことでした。

なかなか良いプランのように思いましたが、我々の位置情報がALAMOに伝わらず、手続きが難航しました。ALAMOから送られてきたテキストメッセージに記載されているリンクをタップすると自動で位置情報がALAMOに届く仕組みになっているそうなのですが、私がリンクをタップすると「位置情報は送信されました」というメッセージが表示されるものの、ALAMOのオペレータには届いていないそうです。もしかしたら、ALAMOからハルさんに送られてきたテキストメッセージを私に転送してもらったことが原因かもしれません。ハルさんからALAMOに事情を説明し、ALAMOから私のスマホへ直接、テキストメッセージを送ってもらってリンクをタップしたところ、位置情報がALAMOに届いたと言われました。時間はかかってしまいましたが、最終的には位置情報が共有できたようで、安心しました。

ALAMOのオペレータから「UberでオンタリオのALAMOに行き、そこで新しい車を借りるように」と言われました。私はオンタリオがどこにあるのかよく知らなかったので「ふーん。了解」という感じでしたが、ハルさんから「あと1時間ちょっとでラスベガスに到着する場所にいるのにオンタリオまで戻るのはキツイ。ラスベガスのほうが断然近いのでラスベガスのALAMOに輸送してくれないか?」とALAMOに伝えてくれました。それに対してALAMOからは「ラスベガスのALAMOには今貸し出せる車がありません」と言われ、しまいには「やっぱりあなたの位置情報がわからないので対応できない」と言われてしまいました。

私の周囲には目印になるような建造物が見当たらないものの、スマホのGPSで取得した座標情報をALAMOに伝えたり、高速道路上にあったCALL BOXのナンバーを伝えたりと、できる限りのことをしましたが「あなたの位置がわからないのでレッカーもUberも手配できない」と繰り返し言われ、しまいには電話を切られてしまいました(単に我々をラスベガスのALAMOに輸送したくないだけ? 州をまたぐ手続きを面倒くさがってる…?という気もしてしまいました)。ともかく、どうすべきか考える必要があります。

19:27 ガソリンスタンドに向かって移動する

Googleマップによれば、ここから10分ほど車を走らせたところにガソリンスタンドがあるようです。「Engine Malfunction」という警告が表示されている車を走らせることに不安はあるものの、このままここにいてもどうしようもないので、ハルさんとも相談し、とりあえずノロノロ運転でガソリンスタンドまで行き、そこの住所をALAMOに伝えることにしました。

制限速度が70マイルのフリーウエイを20マイルで走りました。これ以上はアクセルを踏んでも加速しません。普段はノロノロと走っているように見える大型トラックたちにもあっさりと抜かれていきます。ハザードランプは点けていますが、いつ追突されるかと肝を冷やしながら走りました。アクセルを踏んでもほとんど加速しないのですが、しばらくアクセルを踏み続けていたら下り坂で50マイルくらいまでスピードが上がりました。ただ、これ以上の加速はやめました。このまま40~50マイルで走れるならばラスベガスまで行ってしまおうか、ということも一瞬、頭をよぎりましたが、このスピードだと2時間はかかるだろうし、リスクが高いと考え、ガソリンスタンドで停車しました。

19:37 ガソリンスタンドからレンタカー会社に再び電話する

ガソリンスタンドに到着してすぐにハルさんに連絡し、再び3者通話を開始しました。今度は私からALAMOに電話をかけたあと、ハルさんを加えて三者通話にしました。ガソリンスタンドのアドレスをALAMOに伝えたところ、レッカーのためのロードサービスと、我々を輸送するためのUberを派遣してもらえることになりました。ロードサービスは今から1時間以内に到着するとのことです。ロードサービスのスタッフに車のキーを渡した後、Uber手配用のURLをタップするようにと言われました。これをタップすると、自動的にラスベガスのALAMOオフィスに行くためのUberのリクエストが送信されるようになっているそうです。

エンジンのトラブル発生からすでに2時間半以上が経過して疲労感はあるものの、先の見通しが立って安心しました。どうにか日付が変わる前にホテルに到着できそうです。ガソリンスタンドでトイレを済ませ、ダイエットマウンテンデューを購入してのどを潤します。ALAMOが送ってくれたロードサービスの予約リンクをタップすると、ロードサービスのステータス画面が表示されました。最初は「Arriving in 60 minutes.」と書かれており、時間が経つごとに待ち時間が減っていきます。待ち時間が最大1時間とわかっていればそれほど苦ではありませんでした。いやぁ、よかった。ハルさんに感謝、感謝です。

なお、エンジンのトラブルについて我々に落ち度があるなどと指摘されるかなという心配もありましたが、そのような話題は出ませんでした。今回のレッカーやUberはすべてALAMOの費用負担という前提で動いているようです。レンタカーの予約時にロードサービスのオプションはつけていなかったため何かしらの費用を請求されるのではないかと内心恐れていましたが、私の理解が正しければ大丈夫そうです。

私の車から50mほど離れたところで子どもたちの面倒を見ていたところ、私の車のすぐ近くに大型の車が停車し、その中からラテン系の男女5人ほど出てきて、そのうち2~3人の女性が私の車のボンネットに座って話し始めました。やれやれと思いながら車のほうに行って追い払いましたが、しばらくするとまた同じ人たちがボンネットに座ったので仕方なく車を移動させることにしました。こちらはただでさえ疲れているのに、なぜこんなガラガラの駐車場で車を移動させなければならないのか。まったくもって理解できませんでしたが、今にして思えば、「しばらくボンネットに座っても持ち主が現れない」→「持ち主不在と判断し、窃盗を働く」という感じのステップだったのかもしれないと思いました。周囲は暗く、ほとんど人もいないガソリンスタンドなのであり得るかもしれません。車の移動後は、誰も近づいてきませんでした。

21:10 レッカーがキャンセルされた

レッカー到着までの待ち時間が「Arriving in 3 minutes.」となり、それが2 minutesとなり、1 minutesとなり、ついに「Arriving soon」という表示になりましたが、レッカーは来ませんでした。しばらくしてスマホを見たら、ステータスが「Contacting Providers」となりました。どうやら、最初に予約していたロードサービスがキャンセルしたため、別のロードサービスの検索を開始したと思われます。幸い、新しいロードサービスは3分ほどで見つかりましたが、「The roadside assistance will be there in 90 minutes.」というテキストメッセージが届きました。いまから1時間半も待つのか。。。しかも、またキャンセルされるかもしれないという不安もあります。このときは絶望的な気分でした。

21:16 ロードサービスから電話あり。身支度をしてUberを呼ぶ

ロードサービスから電話がかかってきて「もう夜も遅いので、故障した車をおいたままにしてラスベガスに向かって良いよ」と言われました。「車のキーは左側の後輪のタイヤの上に置いといて」とのこと。それはありがたい。いまからUberを呼べば、日付が変わる前にホテルに到着できる可能性もまだありそうです。車とキーを放置していくことへの抵抗感はありましたが、ロードサービスのスタッフがそれでいいと言っているので、そうさせてもらうことにしました。いつUberが来ても移動できるよう、トイレを済ませ、車の中の荷物をまとめてからUberのリクエスト用URLをタップしました。

21:25 Uberのドライバーが見つからない。さらなる絶望の始まり

Uberのリクエスト用URLをタップすると「Urgently requested a ride with Uber for you」というテキストメッセージが送られてきました。「あぁ、ともかくこれでラスベガスのALAMOに行ける」と安堵しました。ただ、ラスベガスのALAMOまでここから1時間以上かかり、そこで新しい車を借りる手続きをするのでホテル到着は早くても2時間後くらいかな・・・と思いました。

約8分後、「There are no available drivers at this time. Please reach out to Urgently for further assistance」というテキストメッセージが届き、絶望します。

その後すぐにALAMOに電話し、もう1度Uberを手配もらうことを約束して電話を切りました。ただ、周囲にドライバーがいない状態で再度リクエストしても、おそらくダメだろうなぁという気がしています。

電話を切ってから10分後、「本当にUberを探し始めていいの?まだレッカー待ちじゃない?」とALAMOからテキストメッセージがきたので、「ロードサービスから車のキーはタイヤの上においておけば大丈夫と言われた」と返答しました。ハルさんから教えてもらった「We have 2 small kids and need a ride desperately」 も付け加えました。「ALAMOでもUber探すけど、自分でドライバーを見つけてもいいよ。あとで領収書を送ってもらったら清算します」と言われたこともあり、私のスマホでもUberとLyftのリクエストを実施しつつ、妻とも話しながら別の手を考えました。

ほどなくしてALAMOから「Urgently requested a ride with Uber for you」と「Urgently Customer Support Center requested a ride for you with Lyft, a rideshare company」のテキストメッセージが届きました。UberとLyftを手配してくれたことはわかりますが、近隣にドライバーがいない以上、移動できる可能性は低いと思われます。このときすでに22時。周囲は真っ暗。時間が経つにつれて選択肢も減っていくはずで、なるべく早く別の手立てを考えなければなりません。妻とも話して、以下の3つの案を出しました。
①ALAMOに代車を持ってきてもらうよう依頼する。
②UBERやLyftのようなRideshareサービスではなく、いわゆる普通のタクシーを手配してもらう。
③自分たちでタクシーを手配し、あとでALAMOに料金を支払ってもらう。

ハルさんと相談したのち、もう1度、ALAMOに電話しました。

22:23 レンタカー会社にタクシーの手配を依頼する

再びALAMOに電話します。「UberもLyftも繰り返し手配してくれてはいますが、かれこれ1時間、ドライバーが見つからない状態なのでタクシーを手配してほしい」と伝え、ALAMOのオペレータから了承されました。「車の不良の連絡をしてからすでに4時間も経っているのに動けていない」「小さな子どもが2人いるので早くホテルに移動したい」「この電話を切らずにこの場でタクシー会社に連絡してほしい」など、ハルさんがかなり色々な角度から主張してくださいましたが、ALAMOのオペレータからは「タクシーが手配できたらすぐに連絡します」と、電話を切られてしまいました。タクシーなら高額かもしれないですが配車を断られることはないはず。とりあえず待つことにしました。ALAMOからはUber とLyftのリクエストを出し続けてくれているようですが、「There are no available drivers at this time. Please reach out to Urgently for further assistance」のテキストメッセージが定期的に届くのみでした。私のスマホでもUber とLyftのリクエストを出し続けていますが、Rideshareでの移動はほぼ期待できないと思っています。

22:40 ついに車が運ばれていく

RideshareやTaxiが見つかるより前に、ロードサービスが到着しました。ロードサービスのおじさんから「あれ、まだいたの?」と言われたのでUberもLyftもつかまらないことを説明しました。ともあれ、今まで車に乗せていたスーツケース2つ、バックパック2つ、子どもたちのおむつやおもちゃ類が入った段ボールを車から降ろし、ガソリンスタンド端のスペースに並べます。無防備で危険な感じが否めません。そして外は寒い。。。ロードサービスが去って10分ほどしたころ、ALAMOから「Do you still need the Uber Assistance?」というテキストメッセージが届きました。Uber or Taxiを必要としている旨を回答します。ハルさんにお願いして、我々のほうでもTaxi会社を調べてコンタクトを開始しました。・・・が、インターネット検索でヒットしたタクシー会社のほとんどは電話がつながらず、たとえつながっても自動音声ガイダンスになってしまってまともに応対してくれるところはありませんでした。コロナ禍とRideshareの普及によって廃業してしまったのか、もう23時なので営業時間外なのか、定かではありませんが、検索上位の6,7社に電話しましたがダメだったので、自力でタクシーを手配することは当面あきらめることにしました。

寒いのでダウンジャケットを着ました。妻はとても不安そうにしています。子どもたちが元気にしていることが救いですが、ふだんは寝る時間なのに寝ていないこと、きちんとした食事がとれていないことは気がかりです。1パック2000円以上もするリッツクラッカーをガソリンスタンドの売店で買ってきて、4人でわけて食べました。値段は高いけど、水、食料、トイレが24時間Availableなのは安心材料です。

23:40 ターミネーター現わる

ALAMOからタクシー手配の状況について何の連絡もないことから、再度電話したところ、非常に冷徹なオペレータが電話に出ました。「こちらができるのはUberの手配だけ。ドライバーが見つからないなら911に電話しろ」の一点張りで、別のオペレータからタクシーの手配を約束されたと言っても「そんな人間がいるはずない。こちらができるのはUberの手配だけ。ドライバーが見つからないなら911に電話しろ」と返ってくるし、「そちらの車の不具合のために我々は動けない状態になっている。Uberがつかまらないならタクシーを手配する責任があるだろう」とALAMOの責任を追及しても「こちらができるのはUberの手配だけ。ドライバーが見つからないなら911に電話しろ」と返ってくる。しまいには「お電話ありがとうございました」と言って一方的に電話を切られてしまいました。いつも利用していたAVISよりも格段に安かったので初めてALAMOを利用しましたが、車は故障するし、Rideshareのドライバーが見つからないと見捨てられるしということで第1印象は最悪になりました。次回は値段が高くてもAVISかなぁ。

23:50 911に電話する

ともかく、ALAMOに見捨てられてしまったので警察を頼るしかなくなりました。まず911をダイヤルします。そして、ハルさんを呼び出して3者通話にしようとしましたが、911では3者通話はできませんでした。ハルさんを頼れないことが突然わかって動揺してしまい、いったん電話を切ってしまいました。とはいえ、ほかに選択肢はないので10秒ほどで気持ちを落ち着け、覚悟を決めて、再度、911をダイヤルします。3者通話がしたいと伝えたところ、ハルさんを加えることはできないが、警察が用意した日本語の通訳ならつけられるとのことだったのでお願いしました。ただし通訳が出てくるまでに15分ほどかかりました。スマホの電池残量を心配しつつ、通訳の到着を待ちます。とても長く感じましたが通訳が出てくれてよかったです。最初におおよそ以下の2点を伝えました。

・レンタカーが故障し、車がレッカーされたこと
・レンタカー会社がUberやLyftを手配しようとしてくれたが2時間ほど待ってもドライバーが見つからず、911に電話しろといってサポートが打ち切られてしまったこと

その後、家族の人数や荷物の数を聞かれたのでそれに答えます。ありがたいことにパトカーを派遣してもらえることになりました。ただ、到着は遅くなるとのこと。通訳の日本語は流暢ではなかったですが、その存在はとても助かりました。0時10分頃に電話終了。ついに日付が変わってしまいました。とりあえずパトカーが来てくれることを伝えたら、妻はようやくホッとしていました。ハルさんにも状況報告したところ、「まだしばらく起きているので何かあれば電話ください」とのこと。ありがたいやら申し訳ないやら…です。子どもたちは無邪気に遊んでいます。普段であればとっくに寝ている時間ですが、ガソリンスタンドの煌々とした明かりと、いつもと違う環境なので興奮して眠れないのかなと思います。機嫌よく居てくれていることが救いです。何時くらいにパトカーが到着できそうか聞いておけばよかった、、、と後悔しつつ、ひたすら待ちます。

01:08 パトカー到着

今か今かと待つこと約1時間、ようやく1台のパトカーが到着しました。セダンタイプです。先ほどの電話でこちらの人数と荷物の数を聞かれたので、もう少し大きな車で来てくれるものと期待していたのですが、我々を輸送してくれるつもりは無さそうに見えました。

2人の警官がパトカーを降りてきて、状況の説明を求められました。

先ほど911で伝えた内容と同じことを再度、私の口から伝えました。

・レンタカーが故障し、車がレッカーされたこと
・レンタカー会社がUberを手配しようとしてくれたが2時間ほど経ってもドライバーが見つからなかったため、911に電話しろといってサポートが打ち切られてしまったこと

「なぜレッカーの運転手にホテルまで運んでもらわなかったのか」と聞かれましたが、「Uberを手配するからそれを利用するようにとALAMOから言われていたので、言われた通りにした」と答えました。2人の警官は状況を理解したものの、どうすればよいか、決めかねているようでした。

1人の警官から「見てわかる通り、このパトカーでは君たち全員を運べない。1つおすすめできることとしては、ガソリンスタンドに寄った人にお願いしてラスベガスまで連れて行ってもらうことかな」と言われました。我々は家族4人で荷物もそれなりに多いので、ヒッチハイクに応じることができる車は限られているし、何より危険ではないのか。せっかく出してもらったアイデアですが、現実的ではない気がしました。「うーん、それがあなたのおすすめですか?」と聞いたら、「いや、単なるsuggestionだけど…」となり、再び3人で沈黙します。

「もしくは・・・ここから車で30分くらい北上したところにプリムって町があるんだけど、そこまでだったらパトカーで連れて行ってあげてもいい。だけど、見ての通り小さいパトカーなので、乗せられるのは大人1人と子ども1人まで。荷物は全部ここに置いて行ってもらう。いまから君のスマホでUberを起動し、プリム発、いま我々がいるガソリンスタンド経由、ラスベガス行きの乗車予約をして、ドライバーが見つかったらパトカーでプリムまで連れて行ってあげるけど、それでどう?」という提案をいただきました。

それ以外に方法は無さそうですし、その提案に乗らせてもらうことにしました。さっそく私のスマホでUberを起動し、プリム発、今いるガソリンスタンド経由で、ラスベガスのホテルベネチアンを最終到着地とし、40分後に乗車する旨の乗車予約を行いました。無事に予約が完了したのでその画面を警官に見せ、私と長女のみパトカーでプリムに運んでもらうことにしました。

妻と次女の安全確保のため、警官がガソリンスタンドのスタッフに話をつけてくれて、店舗内のスペースの一角を貸してもらえることになりました。そのスペースに皆で荷物を運び、妻/次女とはしばしのお別れです。

警官からかなり本格的なボディチェックを受けたあと、長女と一緒にパトカーの後部座席に乗りました。遠目に見たら逮捕されているように見えたかもしれません。運転席と助手席は異様に広く、後部座席はとても狭くて圧迫感がある構造になっていました。おそらく、逮捕者が動きにくいような仕様になっているのだと思いました。後部座席と前方の間には目の細かい金属の網が張り巡らされていました。

長女は私の膝の上に座っています。最初のうちは「もうお化けの時間だから、お化けが来ちゃうかもね」とか「夜はお化けの時間だよね」などとよくわからないことを言っていましたが、パトカーの中が暗かったためか、走りはじめて5分後くらいには寝入っていました。

パトカーに乗ってからしばらくして、急に妻子のことが心配になってきました。Uberの乗車予約は完了しているけど、もしドライバーが見つからずに予約がキャンセルになったらどうやって妻たちと合流するのか。そもそも、ガソリンスタンドの店内に居させてもらっているとはいえ、変な輩に絡まれたら誰が妻子を守るのか、いますごく不安な気持ちで待っているのではないか、妻が警官と一緒に移動したほうが良かったのではないか、なぜ自分たちをガソリンスタンドに残したんだと思っているのではないかなど、次々と不安が浮かんできました。妻と子どもたちをパトカーに乗せてプリムのホテルで一泊してもらい、私が荷物番をしながらガソリンスタンドで夜明けを待つべきだったかもしれないと後悔するも、ときすでに遅し。とりあえずプリムに着いたらUberの予約状況を確認し、もしドライバーが見つかっていなければ妻子を輸送してもらうか我々をガソリンスタンドに戻してもらうよう、警官に頼み込むしかないと考えました。

余談ですが、プリムへの移動中、スピード違反している車がいました。パトカーが強烈なライトを違反車両の運転席に当てて「SLOW DOWN!」と警告していました。パトカーは回転警告灯(いわゆるパトランプ)を点けながら走っているのに、警告されるまでスピードを下げない人がいることに驚きました。

01:30 プリムに到着

パトカーでプリムのホテルに到着しました。Uberの乗車予約まではあと10分ほどありますが、ドライバーが見つかっていないように見えます。そのことを警官に伝え、少し会話した結果、パトカーで妻子もここに運んでもらえることになりました。「警察は本来はこういう輸送はしない。我々はタクシードライバーではない。でも、女性と子どもを放置しておくのは危険だし、ほかに選択肢がないことも理解している。だから今回は特別に運んであげる。今回は特別だということをよく覚えておいてほしい」という趣旨のことを何度も念押しされました。

今の状況を伝えようと妻に電話したものの、出ませんでした。まさか、先ほど考えていた不安が的中したのかと急に不安になりましたが、5分ほど後に折り返しがありました。妻子もプリムまで輸送してもらえることになったこと、今パトカーがガソリンスタンドに向かっていて、あと15分くらいで到着すると思うこと、荷物はおそらく全部は運べないので、貴重品を1つにまとめておくように、ということを伝えました。

あとはプリムからラスベガスまでの移動手段を考える必要があります。Uberはなさそうなので、ホテルのスタッフにタクシーを呼んでもらうか、プリムのホテルに1泊して、朝になってからUberを探すことなどが考えられますが、妻の希望もあると思うので合流してから相談することにしました。

長女はずっと寝ています。本当はベンチかソファに寝かせたいのですが、カジノのイスで子どもを寝かせるわけにもいかないし、ほかに座るところが見当たらないので、苦肉の策として私が来ていたダウンジャケットで包んでホテルのエントランスの地べたに寝かせました。長女の様子をニコニコと見ながら通り過ぎる人、「大丈夫? 何か手伝えることはある?」と真剣な表情で聞いてくれる人、「まさか誘拐犯か!? ガハハハハハ」と冗談を言って通り過ぎていく人など、いろいろな人がいましたが、うまく反応できませんでした。

午前2時過ぎに妻からラインがありました。すべての荷物をパトカーに押し込んで向かっているとのこと。「あの小さいパトカーに一体どうやって詰め込んだのだ・・・?」と不思議でたまりませんでしたが、ともかくすべての荷物が入ったのは朗報でした。

02:30 妻子もプリムに到着

妻からラインをもらった20分ほど後に、パトカーが到着。助手席の警官がおむつの段ボールを抱えて出てきました。助手席の足元にはスーツケースが収納されており、ベビーカーやその他の荷物も見事にパトカーに押し込められていました。警官たちはちょっと楽しそうな表情で荷物を抱えながらパトカーを降り、すべての荷物を降ろしたあと、ホテルのスタッフをつかまえて今からラスベガスに行くにはどうすればよいかを聞いてくれました。

「午前3時に仕事を終えるスタッフがいるので、その人の車に乗せてもらってラスベガスに行くのはどうか」と提案があったそう。私がパトカーに乗ったときは警官たちは一言も話さず、やや恐い雰囲気でしたが、いまはすごく楽しそうな表情なのが印象的で、かつ不思議でした。妻から聞いたところによると、パトカーに乗る際に所持品検査もなかったし、警官同士で明るく話しながらドライブしていたとのこと。妻も警官から話しかけられたものの「I can’t speak English well」といういつものフレーズを述べた後は特に難しい話はされなかったようです。パトカーに荷物を詰め込む際に1歳の次女を抱っこしてもらったりしたようなので、そういったところで打ち解けたのかもしれません。

警官がホテルのスタッフやセキュリティに我々の状況を説明してくれてから、パトカーが走り去っていきました。ALAMOに見捨てられたときは絶望しましたが、本当に助かりました。感謝、感謝です。

3時に仕事を終えるというスタッフと話しました。ホテルベネチアンまで連れて行ってほしいと伝えたうえで、運賃を聞いたところ、少し考える表情をしたのちに「100ドルかな」との返事。我々には他の移動手段がないため強気の値切り交渉をするつもりはありませんでしたが、先ほど、ほかのスタッフから「Uberなら60~100ドルくらいが相場だろう」と聞いていたので、試しに「80ドルくらいが妥当だと思う」と言ってみたらあっさり80ドルで交渉成立となりました。あとでUberにて調べたら80ドルという金額が提示されたので、80ドルくらいがちょうどよい値段のようです。当然かもしれませんが「領収書はくれない」とのことなので、ALAMOは清算に応じないと思われます。

ちなみにもう少し時間が早ければ、ALAMOに寄って新しい車を借りてからホテルに行きたいところですが、睡眠時間の確保を優先すべく、ホテルに向かうことにしました。

現在は午前2時20分くらい。これから3時過ぎまでホテルのエントランスで時間をつぶします。遅くとも5時にはホテルの部屋に到着できそうかなと予想します。長女は寝ていますが、次女はなかなか寝付けないようで、妻に抱っこされながら泣いています。ホテルのエントランスの照明はまぶしく、夜中でも車や人が往来するので寝られなくても仕方がないように思います。むしろ長女の寝る力に感心させられます。ベネチアンは1泊5万円ほどでしたが、1泊目はまったく堪能できませんでした。残念ではありますが、無事が何よりです。

03:20 ラスベガスに向け、プリムを出発

3時20分ごろ、仕事を終えたスタッフが到着しました。どんな車で来るのか少し心配していましたが、大きい車ですべての荷物が余裕で入りました。清潔で乗り心地も良かったです。車体にLyftのシールが貼られていたので、副業としてLyftのドライバーをしているのかもしれません。「なんでこんな時間に移動したいの?」と聞かれたので「フリーウェイでレンタカーが故障して、パトカーでここまで連れてきてもらった」という話をしたらとても驚きつつ、同情してくれました。

03:57 ようやくホテルベネチアンに到着

3時57分にホテルベネチアンに到着。荷物はポーターに任せ、手ぶらでチェックイン。「事前に予約していたCity view Suiteは満室のため、Partial City View Suite(おそらくStandard View Suiteのこと)になります」と言われ、残念な気持ちになりました。熟考のすえ選んだ部屋タイプが無断でダウングレードされてしまうとは。。。一応、チェックインが遅くなることもExpediaのメッセージ機能で伝えていたのに。。。とはいえ、こんな時間までチェックインしなければ予約が強制キャンセルされても文句は言えないと思うので、このレベルの変更は許容範囲と思うことにしました。部屋をダウングレードされた分の差額は返してもらいたいところですが、とにかく今は早く家族を休ませたいのと、私自身も頭がまわらないのでスムーズに手続きを終えることに徹しました。

4時35分に部屋に到着。車の故障からおよそ12時間かかりました。車の故障がなければ19時にはホテルに到着しているはずだったのに10時間近く遅れました。疲れているはずですが、神経が高ぶっているせいか不思議とぐったりな感じではありませんでした。おそらく寝ているだろうと思いつつ、ハルさんにお礼のメッセージを送ったらすぐに返信が来ました。もしかしたらずっと待っていてくれたのかも。とても親切にしていただいてありがたかったです。何かしらの方法でお礼をしたいと思っていますが、時間が時間なので後ほど相談したいと思います。

本日の朝9時からベラージオ集合の日帰りツアーを予約しているので、いまから2~3時間ほど寝てからツアーに参加し、それが終わったらALAMOに新しい車を借りに行きたいと思います。まだ落ち着かない状態が続きますが、家族全員が無事にホテルに到着できたことが何よりの喜びです。ハルさん、2名の警官、ベネチアンまで運んでくれたドライバー等々、助けてくれた方々に感謝しつつ就寝しました。

今回の教訓

長々と書いてしまいましたが、レンタカーの故障事件の顛末は以上の通りです。また、今回のトラブルから得た教訓は以下の通りです。

・アメリカをレンタカーで旅行するならアメリカの電話番号を持っていたほうが良い。
今回のトラブル発生に伴い、レンタカー会社やロードサービスと電話やテキストメッセージでやり取りすることが多かったですし、タクシー会社に電話することもありましたので、モバイルWi-Fiだけでなく、アメリカの電話番号を持っていることは必須だと思いました。今回の旅行に先立ち、HanaCellで30日分の短期eSIMを契約しておいてよかったと心底思いました。今後は衛星通信を使った緊急通報に対応しているスマホを持っていくことがスタンダードになるかもしれません。

・911は最後のセーフティネットとして非常に有用。
911に電話するのは心理的な抵抗感がありましたが、セーフティネットとしてとても重要な機能を果たしていると思いました。UberやLyftのドライバーが見つからない状況で粘っても時間を浪費するだけなので、もう少し早く911にかけていれば良かったかもと思いました。911で3者通話はできませんが、通訳は紹介してもらえます。あくまでも最終手段ではありますが、必要以上に怖がる必要はないと感じました。

・車内に予備の食糧と水を積んでおくべき。できれば毛布や予備バッテリも。
今回はガソリンスタンドの近くでトラブルに遭ったので不幸中の幸いでしたが、最悪の場合、何もないところで長時間の滞在を余儀なくされる可能性があります。その備えは必要だと思いました。

・いざというときに頼りになる連絡先があると安心
私の場合はハルさんにとても助けられました。特定の知り合いがいなくても、びびなびやロコタビなど、現地在住の日本人の目にとまりやすいサイトをいくつか知っていると安心度が増すと思います。

・ある程度の現金は持っていたほうが良い
アメリカはクレジットカード社会ですが、ヒッチハイクをしたり、食べ物/飲み物を譲ってもらう際には現金での支払いが必要になります。今回もプリムからラスベガスまで運んでもらったときのお礼は現金で支払いました。あまり多額のお金を持っている必要はないと思いますが、色々な額面のお札を200~300ドル分くらい持っていると安心かなと思います。

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